12月23日は、長きにわたり国民の祝日として親しまれてきた特別な一日です。
平成の時代においては、天皇誕生日として国民がこぞって祝意を表す日でした。
御代替わりを経た現在も、上皇陛下の誕生日として、多くの人々が感謝と敬愛の念を抱く日であることに変わりはありません。
また、この日は日本の高度経済成長を象徴する建造物が完成した日でもあります。
歴史を振り返ると、国際的な技術革新が発表された日や、忘れがたいスポーツの名場面が生まれた日でもあります。
一方で、戦後の大きな転換点となる出来事が執行された日としても記録されています。
このように、12月23日は慶祝すべき事柄と、歴史の重みを感じさせる出来事が混在する、多面的な一日と言えるでしょう。
12月23日は何の日？代表的な記念日・イベント
東京タワー完工の日
1958年（昭和33年）の12月23日、東京都港区芝公園において「東京タワー」の完工式が盛大に挙行されました。
正式名称を「日本電波塔」と言い、その高さは333メートルに及びます。
完成当時は、フランス・パリのエッフェル塔を凌ぎ、自立式鉄塔として世界一の高さを誇りました。
建設には約4,000トンもの鋼材が使用されましたが、その中には朝鮮戦争で使用された戦車を解体した鉄屑も一部再利用されたと言われています。
戦後の焼け野原から復興し、経済成長へと突き進む日本の象徴として、人々の希望の灯となりました。
開業以来、半世紀以上にわたり東京のランドマークとして愛され続けています。
現在でも、季節ごとのライトアップやイベントが行われ、多くの観光客を魅了しています。
この日は、日本の技術力と復興のエネルギーを再確認する日として記憶されています。
テレホンカードの日
1982年（昭和57年）の12月23日、日本電信電話公社（現在のNTT）がカード式公衆電話の1号機を設置し、テレホンカードの発行を開始しました。
最初の設置場所は、東京都千代田区の数寄屋橋公園内でした。
それまでの公衆電話は10円玉や100円玉を使用する必要があり、小銭を持ち合わせていない場合の不便さが課題でした。
テレホンカードの登場により、キャッシュレスで通話が可能となり、公衆電話の利便性は飛躍的に向上しました。
その後、企業の広告や観光地の記念品、アイドルの写真などがプリントされたデザイン性の高いカードが次々と登場しました。
1990年代には収集ブームが巻き起こり、社会現象となるほどの人気を博しました。
携帯電話の普及により利用頻度は減少しましたが、災害時の通信手段として現在も見直されています。
この記念日は、通信インフラの進化と、かつての文化を振り返るきっかけとなる日です。
12月23日に制定されたすべての記念日・イベント一覧
海外・国際的に定められた記念日
スウェーデン王妃シルヴィアの誕生日（スウェーデン）
スウェーデン国王カール16世グスタフの王妃、シルヴィア・レナーテ・ソメーラトの誕生日を祝う日です。
スウェーデン全土で国旗が掲揚される公式のフラッグ・デーの一つとされています。
日本国内で定められた記念日
上皇誕生日
第125代天皇（現在の上皇明仁さま）の誕生日（1933年生まれ）です。
在位中の1989年から2018年までは「天皇誕生日」として国民の祝日でしたが、退位に伴い現在は平日となっています。
東京タワー完工の日
1958年に東京タワーが完成し、完工式が行われたことに由来します。
テレホンカードの日
1982年にカード式公衆電話が登場し、テレホンカードが発行開始されたことを記念してNTTが制定しました。
その他・民間企業や団体が制定した記念日
踏切の日
「人に（12）踏切（23）」の語呂合わせに由来します。踏切事故の防止を啓発するために制定されました。
不眠の日
睡眠改善薬などを製造するエスエス製薬が制定しました。「不眠（2・3）」の語呂合わせで毎月23日が記念日ですが、年末の忙しさで睡眠不足になりがちな12月は特に意識される日です。
12月23日に何があった？世界を動かした過去の出来事・事件
12月23日は、日本の近代化の幕開けから戦後処理の結末、そして科学技術の進歩まで、幅広い分野で重要な出来事がありました。
世界・海外の歴史的出来事・事件（長文化対象）
ジョージ・ワシントンの辞任（1783年）
1783年のこの日、アメリカ独立戦争を勝利に導いたジョージ・ワシントンが、驚くべき行動に出ました。
彼はメリーランド州アナポリスで開催されていた大陸会議において、大陸軍総司令官の職を辞任したのです。
当時の常識では、軍事的成功を収めた指導者はそのまま権力を掌握し、独裁者や王となるのが一般的でした。
しかし、ワシントンは自ら軍権を議会に返上し、一市民に戻ることを選びました。
この行動は、軍隊が文民統制（シビリアン・コントロール）の下にあるべきだという、民主主義の根幹となる原則を確立する決定的な瞬間となりました。
彼の高潔な決断は世界中に衝撃を与え、後のアメリカ大統領制度の模範となりました。
この出来事は、権力への執着よりも法の支配と共和制の理想を優先した歴史的快挙として語り継がれています。
ゴッホの耳切り事件（1888年）
1888年のこの日、フランスのアルルにおいて、美術史に残る衝撃的な事件が発生しました。
後期印象派の巨匠フィンセント・ファン・ゴッホが、共同生活を送っていたポール・ゴーギャンとの激しい口論の末、自らの左耳を剃刀で切り落としたのです。
二人は「黄色い家」で芸術家共同体を作る夢を持って共同生活を始めましたが、芸術的見解の相違や性格の不一致から関係が悪化していました。
精神的に追い詰められたゴッホは、発作的に自傷行為に及んだとされています。
切り落とした耳を新聞紙に包み、馴染みの娼婦に手渡したという逸話も残っています。
この事件によりゴーギャンはアルルを去り、二人の共同生活はわずか2ヶ月で破綻しました。
この悲劇的なエピソードは、ゴッホの狂気と天才性を象徴する出来事として知られるようになりました。
トランジスタの発明（1947年）
1947年のこの日、アメリカのベル研究所で、20世紀最大の発明の一つが誕生しました。
ジョン・バーディーン、ウォルター・ブラッテン、ウィリアム・ショックレーの3人の物理学者が、半導体を用いて電気信号を増幅させる「点接触型トランジスタ」の動作実験に成功したのです。
それまで電子機器の主役だった真空管は、大きく、熱を持ち、壊れやすいという欠点がありました。
トランジスタは小型で消費電力が少なく、耐久性にも優れていたため、エレクトロニクス産業に革命をもたらしました。
この発明により、ラジオの小型化やコンピューターの飛躍的な進化が可能となりました。
3人はこの功績により、1956年にノーベル物理学賞を受賞しています。
現代のデジタル社会は、この日の発明なしには存在し得なかったと言っても過言ではありません。
日本国内の歴史的出来事・事件（長文化対象）
岩倉使節団の出発（1871年）
明治4年11月12日（新暦1871年12月23日）、日本の近代化を加速させる一大プロジェクトが始動しました。
岩倉具視を特命全権大使とする「岩倉使節団」が、アメリカおよびヨーロッパ諸国への視察と条約改正交渉のために、横浜港を出発したのです。
副使には木戸孝允、大久保利通、伊藤博文といった明治政府の中枢を担う人物が名を連ねました。
さらに、女子留学生を含む多くの学生や随員も同行し、総勢100名を超える大規模な使節団となりました。
彼らは約1年10ヶ月にわたり欧米の政治、産業、教育、文化を熱心に視察しました。
当初の目的であった不平等条約の改正交渉は難航しましたが、持ち帰った知識と経験は、その後の日本の国づくりに計り知れない影響を与えました。
この出発は、日本が世界に向けて扉を大きく開いた象徴的な日として歴史に刻まれています。
A級戦犯7名の死刑執行（1948年）
1948年（昭和23年）の12月23日未明、東京の巣鴨プリズンにおいて、極めて重大な刑が執行されました。
極東国際軍事裁判（東京裁判）で平和に対する罪などに問われ、死刑判決を受けていた東條英機元首相らA級戦犯7名の絞首刑が行われたのです。
処刑されたのは、東條英機のほか、土肥原賢二、広田弘毅、板垣征四郎、木村兵太郎、松井石根、武藤章の各氏でした。
執行日は、当時の皇太子（現在の上皇陛下）の15歳の誕生日にあたっていました。
GHQ（連合国軍最高司令官総司令部）があえてこの日を選んだのかどうかについては、歴史家の間でも様々な議論があります。
皇太子の誕生日に合わせることで、旧日本軍の象徴的存在を排除し、新しい時代の幕開けを印象付ける意図があったとする説も存在します。
遺体は直ちに火葬され、遺骨は東京湾などに散骨されたとされていますが、一部は密かに回収され、後に殉国七士廟などに祀られました。
この出来事は、戦後日本の占領政策と戦争責任の清算を象徴する、重い歴史の一ページです。
オグリキャップのラストラン（1990年）
1990年（平成2年）の12月23日、中山競馬場で行われた第35回有馬記念は、日本競馬史に残る伝説のレースとなりました。
主役は、地方競馬から中央競馬へ移籍し、「芦毛の怪物」として国民的な人気を誇ったオグリキャップでした。
しかし、この年のオグリキャップは不調に喘ぎ、天皇賞（秋）で6着、ジャパンカップで11着と惨敗を喫していました。
「オグリは終わった」という声も囁かれる中、引退レースとして臨んだのがこの有馬記念でした。
武豊騎手を背に、4番人気でスタートしたオグリキャップは、第3コーナーから徐々に進出を開始します。
最後の直線に入ると、全盛期を彷彿とさせる力強い末脚で先頭に立ち、そのままゴール板を駆け抜けました。
17万人を超える観衆で埋め尽くされたスタンドからは、地鳴りのような「オグリコール」が巻き起こりました。
この奇跡の復活劇は、多くの人々に感動を与え、今もなお語り継がれる名場面となっています。
12月23日が誕生日の有名人：歴史人物から人気芸能人まで
12月23日生まれの人物は、各分野で先駆的な役割を果たしたり、国民的な人気を博したりする傾向が見られます。
日本国内で生まれた著名人・芸能人
上皇明仁（1933年）：第125代天皇、魚類学者。ハゼの研究で世界的権威としても知られています。
笑福亭鶴瓶（1951年）：落語家、タレント。人情味あふれる芸風で幅広い世代から支持されています。
庄野真代（1954年）：歌手。『飛んでイスタンブール』などのヒット曲で知られます。
武藤敬司（1962年）：元プロレスラー。「プロレスリング・マスター」の異名を持つレジェンドです。
山崎まさよし（1971年）：シンガーソングライター。代表曲に『One more time, One more chance』などがあります。
柏原収史（1978年）：俳優、ミュージシャン。ドラマや映画で幅広く活躍しています。
倉科カナ（1987年）：女優。明るいキャラクターと確かな演技力で人気を博しています。
樫野有香（1988年）：歌手。テクノポップユニット「Perfume」のメンバー（かしゆか）です。
亀井絵里（1988年）：元アイドル。モーニング娘。の第6期メンバーとして活躍しました。
小島瑠璃子（1993年）：タレント。バラエティ番組などで活躍しています。
海外で生まれた著名人・歴史上の人物
ジャン＝フランソワ・シャンポリオン（1790年）：フランスの考古学者。ロゼッタ・ストーンを解読し、ヒエログリフの謎を解明しました。
リチャード・アークライト（1732年）：イギリスの発明家。水力紡績機を発明し、産業革命を推進しました。
カーラ・ブルーニ（1967年）：イタリア出身のモデル、歌手。フランスのサルコジ元大統領夫人としても知られます。
12月23日生まれのアニメキャラ
ガイル（『ストリートファイター』シリーズ）：冷静沈着なアメリカ空軍少佐。
水瀬名雪（『Kanon』）：主人公の従姉妹で、おっとりとした性格の少女。
ラウ・ル・クルーゼ（『機動戦士ガンダムSEED』）：仮面を被った謎多き指揮官。
イシドロ（『ベルセルク』）：主人公ガッツの一行に加わる盗賊の少年。
岡田似蔵（『銀魂』）：「人斬り似蔵」の異名を持つ盲目の剣客。
高橋千秋（『SKET DANCE』）：ソフトボール部のキャプテンを務める快活な女子高生。
12月23日のバースデー情報
12月23日生まれの人に向けた、誕生花、誕生石、バースデーカラーを紹介します。
12月23日の誕生花と花言葉
シネラリア（サイネリア）
花言葉は「喜び」「いつも快活」「愉快」です。
冬の寒さの中で、鮮やかで多彩な花を咲かせる姿から、見る人の心を明るくするようなポジティブな花言葉がつけられました。
プラタナス
花言葉は「天才」「好奇心」です。
古代ギリシャにおいて、哲学者がこの木陰で弟子たちに講義を行ったことに由来し、知性を象徴する花言葉が与えられています。
12月23日の誕生石と石言葉
オレンジ・ジェード（翡翠）
石言葉は「ストレートな告白」「本能」です。
持ち主のエネルギーを活性化させ、直感力や決断力を高める効果があると言われています。
成功へ向けて迷いなく進みたい時に適したパワーストーンです。
12月23日のバースデーカラーと誕生色
カシミヤグリーン
色言葉は「努力家」「優しさ」です。
カラーコードは#5B622Eで、深みのある落ち着いた緑色です。
植物のように穏やかでありながら、大地に根を張るような誠実さと忍耐強さを表す色とされています。
12月23日は何座？星座情報
12月23日生まれの星座は「山羊座（やぎ座）」です。
12月22日から1月19日までの期間が山羊座に該当します。
守護星は土星で、真面目で責任感が強く、目標に向かってコツコツと努力を積み重ねるタイプが多いと言われています。
社会的な成功を重視し、大器晩成型の傾向があるのも特徴です。
【まとめ】12月23日何の日？振り返り
12月23日は、上皇陛下の誕生日という慶事と、A級戦犯処刑という重い歴史的事実が重なる、日本にとって忘れることのできない一日です。
また、東京タワーの完成やテレホンカードの登場など、時代の移り変わりを感じさせる記念日でもあります。
世界に目を向ければ、ジョージ・ワシントンの辞任やトランジスタの発明といった、人類史に影響を与える出来事も起きました。
過去の出来事に思いを馳せながら、平和や技術の進歩に感謝する日として過ごしてみてはいかがでしょうか。
